「ちゃんと生きて、ちゃんと死ぬ」
選択講座「サステナ・ラボ」高尾山フィールドツアーからの報告です。
拓殖大学の学生との合同ツアー企画第一弾。
今回は、高尾山を拠点に日本各地で自然観察会や土中環境の環境再生活動を行なっている坂田昌子さんのガイドのもと、裏高尾の道を歩きました。
「登る」ではなく「歩く」です。
「高尾山に行く」と聴いて、「最近運動していないので体力が心配だけど頂上まで頑張る!」と意気込む生徒達の横で、坂田さん「いやいや、頂上まで全然行きませんし、登りませんし、ほとんど進みません」と。
一同首をかしげ「高尾山にある植物は1500種でイギリス一国分と同じ」という説明に驚きながら、とにかく足を踏み入れました。
なるほど、全然前に進みません。
1歩進む毎に、森の植物や生き物の生態そして変化の複雑系を分かりやすく言語化してくださる坂田さん。
1本の木の周囲だけでも、多様な植物が生えていて、なぜこの植物がそこにあるのか、そのことによって何が起きているのか、といったことを見えている部分だけでなく、土の中や菌といった見えない世界にまで意識を向けて推察していきます。
自然界はそこに住む植物たちの種類が多ければ多い程、複雑であればある程より強固に生態系を維持する。
そのことを理解せぬまま人間が手を入れてしまうことで生態系は崩れ、そのツケは自然災害として人間に返ってくる、、、。(この日はちょうど台風が接近中)
そんなお話を聴きながら、
ルーペ片手に、歩き、立ちどまり、しゃがみ、触れ、考え、、、また歩き、立ち止まり、、、
1km程の道のりを、気づけば2時間以上かけて進みました。
歩きながら、高校生と大学生がお互いのこれまでの活動を教えあう場面も
森を共有財産とする活動をされている坂田さんからは、「コモン」という概念についてのお話もありました。
自然物は本来私的所有に向いていない。
独り占めではなくみんなもの、だから大事にしてきた。
山でも公園でも「行政が、誰かが、やってくれる」ではなく、自分たちがやり、自分たちで決め、自分たちで管理していく。
そのためには自然をよく知る必要があり、知恵も共有財産である。
締めくくりは講座恒例の質問「あなたにとってサステナブルとは?」
坂田さんの答えは
「ちゃんと生きてちゃんと死ぬ」
循環するためには、生死を真剣に考える必要がある。
坂田さんへの質問は、翻って私たち自身の生き方への問いともなりました。
拓殖大学生との合同ツアーは9月末へと続きます。