2018年度入学式 校長の言葉



新入生のみなさん、入学おめでとうございます。

そして、保護者のみなさん、お子さんのご入学おめでとうございます。

今日、220人を超える多くの人たちが入学しました。たくさんいますね。

みなさんが入学した自由の森学園、よく考えてみたらちょっと変わった

名前の学校ですね。

「自由」という哲学的な言葉と「森」という自然を表す言葉が学校の名前にあります。

この「自由」という言葉とは、これから3年間、いろいろな場面で向き合っていく

ことになると思います。今日はこの言葉には触れません。じっくり考えていきましょう。



そこで、今日は「森」という言葉に注目したいと思います。

自由の森学園の創立に関わった方に「自由の森」という学校名になった経緯を聞いた

ことがあります。その方のお話では、いろいろな案が出たのだがどれも決め手がなくて

困っていたところ、ある人から、当時毎日新聞に教育をテーマとした特集記事で

「教育の森」というものがあり、それにあやかって「自由の森」ではどうかと

提案がされ、そこにいた多くの人が賛成したということです。

ちょっと意外な決まり方かもしれませんね。

しかし、私は、自由の森という名前に決めた人たちのなかに、

「森」という言葉に込めた思いが必ずあったはずだと思っています。



みなさんは森と聞いて、どんな森をイメージしますか?

自由の森学園のまわりに広がっている森をイメージする人が多いかもしれません。

ジブリの映画に出てくるような奥深くにある自然の森を思い描く人もいるでしょう。

ジャングルや熱帯雨林のような森を想像する人もいるのではないでしょうか。



一般的に森林は「生物多様性の宝庫」と呼ばれています。

森林について、「私の森」というサイトにこんな記述がありました。

「森林は世界の植物の半数にとって、また、半数以上の昆虫にとっての

故郷でもあります。



私たち人間にとっても、暮らしのためのさまざまな資源を手に入れる場所であり、

鎮守の森など祈りの場にもなり、時にはリクリエーションの場にもなります。

さらに森林は、木材や水の供給源となり、洪水や土砂災害から守ってくれます。

地球全体にとっては二酸化炭素の重要な吸収源であり、その恩恵は計り知れません。

これらすべての生物多様性のもたらす『自然の恵み』が

私たちの命をつないでいるのです。」※1

森とは「生命の拠り所」とも言えるのではないでしょうか。



 森林のなかでも、最もその「自然の恵み」が豊かな熱帯雨林は、

地球上の陸地のわずか7%の面積のなかに、未知のものも含めれば地球に存在する

生物種の4~5割が存在していると考えられています。たとえば、ボルネオの森には、

紙飛行機のように空を飛ぶ植物の種、茎の一部にこぶを作りアリを住まわせて

アリの排泄物から栄養をとる植物、水かきを巨大化させ空中を滑空するカエルなど、

数え上げたらきりがありません。それほどまでに森というものは生物の多様性を

育んでいるのです。※2




自由の森の「森」という言葉に、「多様性を育む」という意味や思いが

込められていたと考えるのは私だけではないと思います。



みなさんの入学したこの自由の森学園は、かけがえのない子どもたち若者たちを

テストという一元的な価値・1つの物差しで人間を序列化し評価していく教育のあり方を

やめ、すべての生徒が深く豊かな学びとの出会いを通して、自由と自立への意志を持ち

人間らしい人間として育つことを助ける教育をつくりだそうと誕生しました。



 自由の森学園は、人間をテストの点数で序列したり偏差値で輪切りにしていないため、

実に多様なそして個性豊かな人たちが集まっています。そして、生徒と教員で授業を

つくるということを大切にしている自由の森では、多様なもののとらえ方や考え方を

尊重する学校でなければならないと私たちは思っています。



ただ、勘違いしてほしくないことがあります。

「多様性を認める」といっても、何をしてもいいということではありません。

「何でもあり」ではないのです。



多様性を否定する考え方とは相容れることはできないと私は思っています。

多様性の反対語は「画一性」ですが、多様性を否定することとして

「排他的」そして「排除と差別」があげられるでしょう。 

「異質なものを差別し排除していくこと」を、私たちは決して認めてはいけないと

思っています。



「多様性を認める」ということで、他者を傷つけたり排除する言動を

「表現の自由」として放置してはいけないのです。



ドイツ在住のフリーライターの雨宮紫苑さんは自身のブログでこのように語っています。

「『多様性を認める=みんな仲良しこよし』ではありません。相手の自由だと

認めた上での批判は成り立ちます。そうじゃなきゃ、『多様性』って言葉に惑わされて

『反論や問題提起』が許されない風潮になって、逆に多様性が失われる状況に

なります。」※3



自分と違う人や、自分と違うものの考え方があることは当然です。

しかしそれは、表面的に馴れ合ってしまうことではなく、「自分は自分、彼は彼」

すぐに距離を決めてしまうことでもなく、ましては差別や排除をすることでも

ありません。



それぞれの違いを尊重し、その違いを積極的に活かすことによって、より深い学びや、

より高い表現をつくり出していく、自由の森はそんな場であると私は思っています。

そして、そんな自由の「森」であり続けたいと思っています。



さあ、いよいよみなさんのこの自由の森での学びの生活がはじまります。

みなさん一人一人は、今日からこの自由の「森」を形作っていく

一つ一つの大切な生命です。ともに学んでいきましょう。


入学おめでとう。





新井  達也


※1 私の森.jp http://watashinomori.jp/
※2 ボルネオの熱帯雨林 横塚眞己人著 福音館書店

※3 雨宮の迷走ニュース http://www.amamiyashion.com/

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